2023年6月26日。新宿Zirco Tokyoでエーデルワイス7人体制最後の対バンライブがありました。
すでに2ndワンマンライブで碧葉るりさんの卒業が発表されています。るりさんは初期メンバーであり、グループの精神的支柱でした。るりさんがいないエーデルワイス。とても想像ができません。
そのるりさんが参加する最後の対バン。るりさんと一緒にパフォーマンスする最後の対バンです。
SEのときからメンバーの様子がおかしく、涙をこらえているようでした。エーデルワイスを知らない方もたくさんいたはずですが、その方たちは、なんでこんなに思いつめた表情でパフォーマンスをしているか不思議に思ったでしょう。
この日のセトリは、るりさん自身が考えました。
最後の対バン、その最後にるりさんが選んだ曲。
『春色サンシャイン』。
どんな悲しみさえ君となら越えてゆく――
越えてきた彼女たちと、それを見届けてきたファンたち。
思いが交差する2ndワンマンライブは3日後に迫っていました。
あの日約束した今日がほら 君の目の前に
エーデルワイスは2022年6月29日、「大切な思い出」をコンセプトにデビューしました。
デビューしたとき、彼女たちは約束をしました。
「来年の今日も向かいあっていたい 泣き顔見せない 笑顔で会おうね その日までずっと繋がってる」
来年の今日……デビューからちょうど1年後の2023年6月29日に、デビュー1周年記念2ndワンマンライブ ~明日の景色~を赤羽ReNYで開催するエーデルワイス。実にドラマチックです。
でも決してドラマのようにうまくはいかない道のりでした。メンバーの契約解除がありました。寂しい現場を何度も経験しました。幸せと同じぐらいの、もしかしたらそれ以上の辛さがあったかもしれません。
それでも彼女たちは辿り着きました。思い描いていた「来年の今日」ではなくても、たくさんの大切な思い出を引き連れたエーデルワイスを見ようと、会場は多くのお客さんで埋まりました。
あの日約束した今日が、メンバーの目に前に広がっています。
一体メンバーはその景色になにを感じたのでしょうか。
わたしは、ここがスタートだと思いました。
「私と一緒なら乗り越えて行ける」
エーデルワイスのライブに感じるのは暖かさです。その雰囲気がとても好きでした。それは2ndワンマンの舞台でも変わりません。暖かさが会場を包んでいました。
その優しい世界の中心で、るりさんは笑顔で卒業しました。
一体どれだけのアイドルが、これだけの祝福のなか卒業できるのでしょうか。卒業を幸せと言ってしまうと怒られるかもしれません。でもあえて言いたいです。るりさんも、るりさん推しの方も幸せだと思います。
こんなにも幸せに満ちた卒業ができるのは、るりさんが描いてきた軌跡が美しいからです。アイドルと真剣に向き合い、ファンの方とともに歩んできたからこそ、最高のエンディングを迎えられた。
るりさんのエーデルワイス人生はなにも間違っていなかった。暖かな拍手がそれを物語っていました。
ライブは新曲『明日への唄』で締めくくられました。デビュー曲である『未来Letter』の続編とも言える歌詞は、エーデルワイスの1年の統括であり、未来への手紙でもありました。
「私と一緒なら乗り越えて行ける」
エーデルワイスなら、ファンと一緒ならば、どんな困難も乗り越えていける。
改めてそう宣言したエーデルワイス。
この先が楽しみでしかたありません。エーデルワイスはまだまだこれからです。もっと多くの人に優しさと暖かさを届けられる。そう確信したワンマンライブでした。
それから36日後――
エーデルワイスの解散が発表されました。
君と見れればいいんだ それだけだ
ワンマンライブ以降、さらにエーデルワイスにハマったわたしは、多くのライブに足を運んでいました。見るたびにどんどん好きになる。グループに目がくらむほどの可能性を感じていました。
そんな矢先の解散発表。信じられませんでした。信じたくありませんでした。とにかくメンバーと話したい。そう思いました。
発表は金曜日。翌日土曜日にライブがあります。基本わたしは土日は動けません。家族との時間にあてているからです。この日も予定がありました。
それでも、メンバーと話したい気持ちがどうしても我慢できません。なにを伝えたいのか、なにを聞きたいのか、自分でもよくわかりません。ただエーデルワイスに会いたい。話したい。それだけです。
まさか勝手に行くわけにもいかず、奥さんに恐る恐る事情を説明しました。奥さんは言いました。
「どうしても明日行かないとダメなの?これからもライブいっぱいあるんでしょ」
奥さんの言う通りです。すぐに解散するわけではありません。約2か月の時間があります。だからここが最後のチャンスではない。何度も話せる機会はあります。
それでも引き下がりました。自分の勝手で奥さんとの用事を反故にする。ひどい夫です。それほどエーデルワイスは自分のなかで大きな存在になっていました。
最終的に奥さんは許してくれました。というより許すまで自分が粘ってしまいました。やっぱりひどい夫です。
解散発表の翌日はBATUR TOKYOでライブでした。結婚式場にも使われる綺麗な会場です。ライブを見ながらも、やはり解散を信じることができません。
頭が真っ白のまま、エーデルワイスを好きになったきっかけの莉夏さんと話をしました。いったいどう声をかけていいのか。言葉がまるで出てきません。ほんの数秒見つめ合い、その後、ふたりで吹き出しました。
この瞬間、覚悟が決まりました。
エーデルワイスの残りの時間、全力を注ぎこもう。エーデルワイスと駆け抜けようと。
それから約2ヶ月。行けるライブは全部行きました。無理をしてでも会いに行きました。あのときもっとがんばればよかったな。そんな後悔もうしたくありません。
ペンライトすら振れなかった自分が、いまはガチ恋口上を叫ぶヲタクになっています。それもエーデルワイスのおかげです。いま伝えなくていつ伝えるんだ。その思いで、慣れない大声を出しています。
もう「来年の今日」はありません。来月も向き合ってはいられない。だからいま、エーデルワイスと一緒に大切な思い出を作りたい。一緒に思い出を見たい。それだけです。それだけに必死になった2か月間でした。
そして――
2023年9月25日、エーデルワイスは最後の日を迎えます。
明日への唄
時間が経てば割り切れると思いました。このアイドル業界、解散は山ほどあります。なかにはちゃんとお別れができないケースもある。でもエーデルワイスは2ヶ月という時間をくれて、その間にたくさん会話もできました。
けど、どうしても嫌です。この期に及んでも、まだ納得できません。解散してほしくありません。これだけ素敵なグループが、メンバーが、ファンが、散り散りになるなんて本当に耐えられません。
しかし、どんなに駄々をこねてもエーデルワイスは解散します。それは変えようのない事実。そして、エーデルワイスと一緒に積み重ねてきた思い出が消えることはないのも事実です。
エーデルワイスと一緒に過ごした日々を思い出すとき、そこにいる彼女たちはどんな表情でしょうか。
大空に向かって咲き誇る花のように笑っているはずです。
エーデルワイスが歌うのは、明日への唄。
その明日にみんながいなくても、みんなと行く道が違っても、だいじょうぶです。傍にはいつも思い出があります。思い出はわたしたちをひとりにはしません。
エーデルワイスがわたしたちにくれたもの、それは未来の希望です。もう迷うことはありません。エーデルワイスと一緒に過ごした思い出が、いつだって背中を押してくれます。
エーデルワイスに出会えてよかったですか。
エーデルワイスになれてよかったですか。
胸を張って、よかったと言えます。
胸を張って、よかったと言ってほしいです。
エーデルワイスの歴史がここで途絶えても、思い出は永遠に受け継がれていきます。
エーデルワイスというグループがいたことを絶対に忘れません。
ずっとずっと、だいすきです。
今日も明日も未来も、ずっと。
さあ最後の日、みんな笑顔で右足から踏み込みましょう。
それぞれの道へ、それぞれの未来へ、それぞれの明日へ。
その先で辛かったり迷ったりしたら思い出してください。
色褪せない思い出は――
エーデルワイスは――
いつも、ここにいます。
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