1枚の集合写メに秘められた物語――Asterisk*zeroとハッピーエンドの向こう側へ

集合写メが撮りたい!!

それはヲタク初期に掲げた目標のひとつです。

再三このブログでも触れてきた通り、わたしは周囲の視線が気になり過ぎる病気を持っています。なので、ライブに行くまで半年、ペンライトを振れるまで3ヶ月、ツーショを撮るのに4ヶ月もかかりました。

そんな遅々とした歩みですが、「ライブ参加」「ペンライト」「ツーショ」に加え、「プレゼントを渡す」「ネット商品を買う」「コンカフェに行く」など、少しずつヲタクとしての夢を叶えています。

その夢のひとつが集合写メでした。

それもただの集合写メでは満足できません。目指すはメンバー全員に認知された状態での集合写メです。「わー!きてくれたー!」とメンバー全員からチヤホヤされながら撮る。そんなヲタクの夢を叶えたいのです!

そしてついに、条件を満たしたグループと集合写メを撮るチャンスがやってきました。

そのグループは、Asterisk*zero――

目線の力

Asterisk*zero(以下アスタリ)との出会いは2022年6月の対バン。それまでグループのことはなにも知りません。正真正銘の初見です。

そのときの感想を引っ張り出すと……。

「フィギュアとして飾りたい!(大声)

ぶれないな自分!!

とにかく、そう書くほどに衣装が気に入った記憶があります。ただ、アスタリの名前が心に深く刻まれた理由は衣装ではありません。レスの多さです。

今でこそペンライトをもって前に行けるようになりましたが、この頃は一番後ろで棒立ちがデフォルト。それなのにアスタリは何度もレスをくれました。「ノリ悪いな!」という威圧的なレスではなく、「楽しんでね」と語りかけてくるような優しさに満ちたレスです。

特にたくさんレスをくれたのが成沢(なるさわ)くれはさん。くれはさんのレスは自分にとって衝撃的で、「僕を変えた10人のアイドル」でも紹介させていただきました。

しばらくはライブを見るだけでしたが、特典会でくれはさんにご挨拶して一気にハマりました。ライブのたびに「アスタリすげー!」とツイートしていたので、メンバーの皆さんからの認知も早かったです。

そのアスタリの指名入場特典が集合写メのライブがありました。そりゃゲットするでしょう!

そうして手に入れたわけですが、まだ使うのはやめておこうと財布にしまい込みました。この券の有効期限は1ヶ月。その間に使えばOKです。

なんでやめておいたのか。

もっとメンバーと仲良くなってからにしよう。それもあります。でも一番の理由は、自分の悪い病気のせいでした。

一歩を踏み出せない

アスタリは現在4人組のグループです。集合写メを撮るとなるとその真ん中に自分がいて……。いやいやいやいや!!考えるだけでしんどい!!

本当にいまの4人のバランスは良いです。そこに自分が入るなんて恐れ多すぎる。でもメンバー全員と写メなんてそう撮れるもんじゃない……。

勇気を出してお願いするか、いまはやめておくか。その二者択一。進むかやめるか。こうやって悩んだ時、なかなか一歩を踏み出せないのが自分の悪い病気です。さらに悪いのが、大抵やめてしまうことです。そしてあとから後悔する。それを何度も繰り返してきたのになかなか学習しません。

結局こうやって、はじめてライブに行くのに半年もかかりました。振り返っても本当に無駄な半年だったと思います。その半年でどれだけの思い出を重ねられたかわかりません。

ペンライトもツーショも同じ。

ペンライトを振れるようになってライブが倍楽しくなりました。ツーショを撮れるようになってチェキ帳に新たなページが加わりました。一歩を踏み出せば絶対に楽しい。

わかっているはずなのに……。

そう迷っているうちに時間だけが過ぎていきます。有効期限も迫ってきました。

今回はもういいかな。次がある。次、お願いすればいい……。

そう思い、集合写メの券を財布の奥にしまい込みました。

「いなくならないよね?」

そんな折、アスタリを好きになったきっかけのくれはさんと、秋葉原のまぜる~むでお話をしました。

ここからのやりとりは一字一句正確ではありません。ただ言ってないことを言ったと嘘はついていないです。そこはお約束します。

ライブ後とは違う姿にドキドキしていると、「すごい勢いで好きになってくれたよね」とくれはさん。それは自分も感じていたことでした。びっくりするぐらい一気に引き込まれました。

そしてくれはさんは、笑顔のままこう続けました。

「すぐいなくなっちゃう人も多いから少し不安だよ」

きっとくれはさんは特定の誰かを指して言ったわけではありません。一般論としてどのアイドルも抱える悩みなのでしょう。強烈に推してくれたのにぱたっといなくなる。病気などの理由はしかたありませんが、他の現場で楽しそうにしている様子を見て複雑な気持ちになってしまう。

もちろん、離れていくファンに罪はありません。ファンには選ぶ自由があります。それがわかっているからこそ強い言葉で引き止められない。引き止めたとしてもそこに拘束力はない。最終的にはファンの判断に委ねるしかありません。

だからくれはさんは、ふわっとぼかした言葉を使ったのだと思います。でもその裏にはこんな言葉を感じました。

「いなくならないよね?」

もし、くれはさんが実際にそれを聞いてきたら自分はどう答えたのか。正直わかりません。馬鹿みたいに生真面目なのです。「ずっと応援しますよ!!」と言えば丸く収まるのにそれが言えない。なぜなら、未来はわからないから。

そう、未来はわかりません。

いなくならないよね?

それはアイドルの言葉でありファンの言葉でもあります。でもそう言われたらアイドルは困るはずです。明日のことすらわからない。そんな不安定な世界で戦っています。

いまが永遠に続くわけがない。

もっと仲良くなってからでいいか。そうやって機会を先送りにしていたら、その機会は永遠に失われしまうかもしれない……。

財布のなかの集合写メ券が重みを増した気がしました。

ハッピーエンドの向こう側

「メンバーだけでお願いできますか?」

はじめての集合写メ。わたしは映らないことにしました。しんどいとか恥ずかしいとかそういう後ろ向きな理由ではありません。これが好きになったアスタリだと、そう自信を持って言える1枚を自分の携帯電話で撮ることに意味があると思いました。

スタッフさんに携帯電話を渡し、準備するメンバーを見つめます。ビニールカーテンを動かす際、留め具が外れて大きな音が鳴りました。それに驚くメンバーを眺めているこの瞬間は、まるで映画のエンディングのようです。

宇宙のように広いアイドルの世界で、Asterisk*zeroという小さな星に出会えた。そんなハッピーエンドです。

どんなにみじめでも、ばかにされても、転んでも、かっこ悪くても、諦めずに輝き続けてきたからこそ、だれかの一番星になれる。いや、アスタリはもうだれかの一番星です。そう思う人たちがどんどん増えています。

だからこれはエンディング。ああ、出会えてよかった。そんな台詞とともに締め括られます。

でもアスタリとの物語はまだまだ続きます。
ここから先はハッピーエンドの向こう側。

「ポーズどうする?」
「一番かわいいポーズでお願いします」

そんな無茶振りに笑い合うメンバーを見ていると、ふとアスタリの歌詞が降ってきました。

――まだ、間に合うかな?――

その問いにははっきり答えられます。

アスタリはだいじょうぶ。ゼロとイチを繰り返し少しずつ先へ。何度だってRe:START。その強さをもっているアスタリはだいじょうぶ。

逆に聞きたいです。

アスタリのファンとして、まだ、間に合いますか?

すごく綺麗に撮れてる!

そう言って笑う小さな星は、宇宙のどの星よりも輝いていました。

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