2023年6月20日に渋谷Asiaにて開催された「パラレルサイダー1st Anniversary LIVE ~平行線からどこまでも探しにゆく~」に行ってきました。
パラレルサイダー(以下パラサイ)との思い出は決して多くありません。対バンで見たのも数回です。ただ、その数回が強烈に印象に残りました。とにかく楽曲が良い。パフォーマンスが強い。そんなパラサイの魅力を感じるためにワンマンは最適です。
そこで、言わばパラレルサイダー入門として、ワンマンのチケットを買いました。そもそもライブで興味をもったグループです。ワンマンでハマる予感しかありません。
でも、パラサイを知ってからワンマンにいたるまで、実は大きな心境の変化がありました。
なぜならパラサイは最初、苦手なグループだったからです。
まぶし過ぎる……!!
パラレルサイダーは2022年6月2日にデビューしたアイドルグループです。もともと5人体制でしたが、2023年3月6日に天白にこさんが卒業。現在は藤川笑茉さん、小熊まな香さん、夢月まゆさん、東雲リアさんの4人体制で活動しています。
その基礎知識を踏まえて見ていただきたいのが初期アーティスト写真。
グループ名の「サイダー」をイメージした仕上がりで、清涼感のある爽やかなアーティスト写真です。
でも、です。
わたしはこのアー写を見て、「近寄れない!」と思ってしまいました。
なぜか。
まぶし過ぎるのです!!!!!
あまりにオシャレで、あまりにまぶしくて、あまりに美人。近寄っただけで「恥を知れ!」と天罰を受けてしまいそうな、そんな神々しさがあります。だから近寄れない、もっと言えば苦手と思ってしまいました。
普段通っているグループにも、美人のメンバーやかわいいメンバーはたくさんいます。でも言語化するのが難しいのですが……パラサイは自分の知る世界とはまるで違う世界に見えます。軽々とは踏み込めない世界です。
それに、「女子が好きそうなアイドル」って感じしません?そこも縁遠く感じた理由のひとつです。ライブ会場でおじさんがオシャレ女子にまじってぽつん……。考えただけで心臓がきゅっとします。
109の前を通るだけでビクビクしているおじさんにパラサイはまぶし過ぎました。なので、曲は好きだけどちょっと近寄れない……という時期が随分ありました。ばかですね、ばかなんです。
もし、わたしと同じ印象、パラサイはまぶし過ぎて近寄れないという思いを持っている方がいたら、勇気を出してライブに行ってください。直接そのステージを見てください。考えががらりと変わるはずです。現にわたしは変わりました。
パラレルサイダーは決して「美人」に甘えてはいません。
全身全霊アイドル
パラレルサイダーほどのルックスがあれば、多少パフォーマンスがおろそかでもそのルックスで勝負できる気がします。もちろん実際はそんな簡単ではないし、他のアイドルさんに失礼です。ただ、そう思ってしまうほどパラサイは立っているだけで絵になります。
けどパラサイは、そのルックスに甘えてはいません。言い方は悪いですが、泥臭く、気持ちを前面に押し出すステージを見せてくれます。そこにあるのは見せかけじゃない、本気のパフォーマンス。
もしかしたら「綺麗だから適当でも許されていいよね」、そんな偏見に満ちた目を向けられたことがあるかもしれません。あるいは「強い事務所だから楽でいいよね」とか。そう思われたくない。わたしたちは全力でアイドルをやってるんだ。その全力がパラサイのステージから確かに伝わってきます。
よくライブアイドルのステージを指して、「お遊戯」と嘲る声を聞きます。でも、ことパラサイに関してそんなことは言わせません。というより、一度でもパラサイを見たことのある方なら絶対に言えないはずです。
美人をかなぐり捨てて必死に気持ちを届けるパラレルサイダー。そのパフォーマンスを目の前にして、わたしの考えが変わりました。近寄りにくいとか言っていた自分を大いに恥じました。
彼女たちは全身全霊をかけてアイドルをしている。そんな当たり前のことにようやく気づいたのです。
だったら受け止めなくちゃいけません。すかしたり、ごまかしたり、逃げたりせずに、正面から。
その全身全霊をかけて挑む1周年ワンマンライブ。
パラレルサイダーの1年が試される日です。
呪いの愛を――
渋谷asiaに入って驚いたのがまず女性の多さ。しかも同業者でしょうか、「アイドルですよね?」と話しかけたくなるほどかわいい方が多い。念のために書いておくと、だいじょうぶです、話しかけていません、本当に!
ライブはパラレルサイダーの魅力全開でした。このライブを見たらパラサイが間違いなく好きになる。そう思わせるほど1曲、1曲に熱がありました。
曲の流れは、1曲目から6曲目まではデビュー日のセトリ、7曲目から9曲目までは新曲発表順、そしてアンコール2曲を含めた全12曲です。
馴染みの曲もあればはじめて聞いた曲もありましたが、すべての曲でペンライトを振りました。振っていて気持ち良い曲が幾つもあったので、それはこれから勉強していきたいと思います。
かっこよく決めたあとMCでふにゃっとなるのもパラサイの魅力。正直メンバーのことはほとんど知らずに来てしまいましたが、気づけば全員好きになっていました。
ライブの途中にはクイズコーナーがあり、メンバーの出すクイズに、1なら1本、2なら2本と指をたててお客さんが答えます。最終的に勝ち残ったひとりは、ライブのセトリを決める権利をゲットできます。
「よっしゃオールパラレルサイダーだ!」と考えていたら見事1問目で撃沈。悪いことを考えるもんじゃないですね……。
そんなこんなであっという間のワンマンライブ。熱かったし、楽しかったし、なによりすごかった。
余計と言っては語弊がありますが、余計な演出を排して、ただパフォーマンスに特化する。そのパフォーマンスで魅力できるのですから、パラサイはやっぱりすごいです。
魂を込めたステージは、見る人の魂を揺さぶります。うまく言葉にできなくても「すごいものを見た!」という感動が心に残ります。
それは一種の呪いです。パラサイからもう二度と離れられない。そんな呪い。
「もう二度と、ねぇ。離れないでと。呪いの愛を。」
この呪いがある限り、わたしたちはまたパラサイのライブを見に行きます。何度でも見たくなります。何度見ても感動を与えてくれるグループです。ワンマンを通して、パラサイはそこにいたすべての人に幸福な呪いをかけました。
アンコールが終わり、ステージから降りたメンバーが舞台袖で泣く声が聞こえました。その涙がどんな理由なのか。きっと充実感と満足感の涙に違いありません。
いまも、そう思っています。
それほどすばらしいライブでした。
パラレルサイダー
パラレルサイダーには力があります。ひとりじゃないと教えてくれる。その力はメンバーの覚悟と決意と志(こころざし)の現れ。メンバーのアイドルにかける想いが、わたしたちを孤独から解放してくれます。
ときに世界中が敵だと感じることもある。なにも報われないと思うこともある。それでもパラサイは見捨てたりしません。「平行線」から「あなた」をどこまでも探しています。
だから辛いとき、苦しいとき、彼女たちを高く高く待ってください。きっとその心を救い(掬い)出してくれます。
もしいつか……。
パラサイが炭酸の泡のようにぱちんとはじけてしまっても、パラサイと過ごした時間、パラサイが残した楽曲が消えることはありません。ひとりひとり歩く道が違っても、生きる世界線が変わっても、救いを求めればいつでも平行線からやってきます。
どんな世界だって彼女たちの歌声が幸福な未来に導いてくれる。
そう信じられるだけの力が、ワンマンライブのステージにはありました。
パラレルサイダーの作り出す「いつもと一味違う世界」。
それは「虹色の世界」に繋がっています。
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