ミルスフェ色の輝き――2022年12月21日「Milky*Sphene1stワンマンライブ『君いろshine』」ライブレポート

2022年12月21日にSpotify O-WESTで開催された「Milky*Sphene 1stワンマンライブ 『君いろshine』」に行ってきました。

Milky*Sphene(以下ミルスフェ)は2022年もっとも多くライブを見たグループで、もっとも多くメンバーと話したグループでもあります。今回のワンマン開催の発表も生で聞いていました(そのときの記事はこちら)。

唐突ですが……。

ミルスフェだけの魅力ってなんだと思いますか?

わたしの答えは――。

ミルスフェだけの魅力

「ミルスフェの魅力ってなんだと思う?」

そうメンバーの越智天音さんに聞かれたのは、ワンマンを数日後に控えたまぜる~むでした。まぜる~むとはミルスフェメンバーもよく出勤している、ひとことで言えばコンカフェのようなところです。詳しくはこちらの記事を。

その問いにわたしは一瞬止まりました。これまでミルスフェのことをたくさん考えてきたつもりです。なのに咄嗟に応えられませんでした。

歌なのかフリなのかグループの雰囲気なのかメンバーの個性なのか。

結局そのときに答えたのは「かわいさ」でした。とにかくかわいい。そのかわいさに自分はひかれた。そんなことを話しました。

天音さんがそれで納得したかはわかりません。ただ自分はまるで納得できませんでした。帰り道、なんで明確に答えられなかったんだろうと頭を抱えました。自分が思うミルスフェだけの魅力。それを自信をもって伝えられたら、ワンマンに向けて背中を押せたかもしれない。なのに……。

かわいい?そりゃかわいいですよ。でもそれだけなのはあまりに浅い。かわいいだけなら他にもたくさんかわいいアイドルはいます。それでもミルスフェにひかれた理由。たくさんのアイドルのなかからミルスフェを見つけた理由。それこそミルスフェだけの魅力。

なんでそんな大事なことを考えてこなかったのか。伝えられなかったのか。答えに窮してしまったのか。

この後悔はずっと頭に残っています。

辿り着いた景色

ワンマンには奥さんとふたりで行きました。最初は興味本位でライブにきていた奥さんも今ではすっかりミルスフェのファン。ミルスフェにハマったきっかけは、ライブ中にメンバーからレスをもらったこと。ライブ後はお互いに「ここで目が合った!」と興奮気味に話すヲタ夫婦になりました。

ワンマン当日。会場には開演の10分ほど前に到着しました。まず人の多さにびっくり。奥さんとふたりで場所をとるのに苦労するほどでした。

ミルスフェは結成2周年を迎えます。2周年にしてはじめてのワンマン。決して順風満帆な道のりではなかったことがうかがえます。少し調べればわかりますが、何度もメンバーの入れ替えがありました。今回のワンマンが発表されたときも、果たしてワンマンまで発表時のメンバーで活動できるのか。そんな危惧を抱いたファンの方も見かけました。

それでもミルスフェは辿り着きました。体調不良で活動休止していた星河澪乃さんも、事前に一曲のみの参加が発表されています。全員で辿り着いたこの満員のフロア。ミルスフェを好きな人、ミルスフェに興味を持つ人であふれた空間です。

「埋まらないかもしれない」。そんな不安をメンバーから聞いたりこともありました。今のミルスフェなら大丈夫ですよ。繰り返しそう答えました。ただそう言う自分もどこか不安な気持ちはありました。

お客さんが少ない会場でミルスフェを見たことは一度や二度ではありません。ワンマンだったらだいじょうぶ。そんなことはとても言えません。

でも、だいじょうぶでした。完売。超満員のフロア。ミルスフェが辿り着いた景色に立ち、ああ良かったと、心からそう思いました。ここにいるだけで泣きそうになってきます。

ひとつひとつのライブを大事に、ひとりひとりのファンを大切に、そしてミルスフェというグループをみんなが丁寧に織り上げてきたからこそ広がる景色のなか、いつものSEで元気よく登場するメンバーがとても誇らしく見えました。

満開の「黄色」

仕上げてきた。そんな言い方は失礼かもしれませんが、気合に満ち満ちたパフォーマンスが、このワンマンにかける意気込みを物語ります。誤解を恐れずに言えば、ミルスフェを見たなかで一番のパフォーマンスでした。

日々のライブの積み重ねの集大成にフロアの熱は高まる一方。フリコピしやすい曲が多いので、メンバーの動きに合わせて揺れるペンライトがとても綺麗です。

盛り上がりが最高潮に達したのが『君色ハニー』。休止中だった澪乃さんが登場したときです。慌ててペンライトを黄色に変えました。この曲ばかりはフロアが黄色で満ちます。紛れもなく澪乃さんがつくりだした景色です。

澪乃さんとは特典会で一度お話しただけ。ひたすら脚を褒めるという変質者めいた記憶しかありません。だから戻ってきたらたくさんお話しよう。脚以外も良いところをたくさん伝えよう。そう決めていました。

でも、それを果たすことができなくなりました。曲終わり、澪乃さんがこの日を最後にミルスフェを卒業することが発表されたのです。

もちろんショックでした。自分が好きになったミルスフェは澪乃さんがいたミルスフェです。そこからメンバーがいなくなるのは体の一部をはがされるほどの苦痛があります。

でも、実際に生で聞いてそこまでの衝撃はありませんでした。きっとそれは澪乃さんが笑顔だったから。送り出すメンバーも笑顔だったから。これは悲しいお別れではない。前向きなお別れ。悲しいお別れが多かったミルスフェだからこそ、澪乃さんの笑顔はファンの救いになったと思います。

ただ澪乃さんは卒業しますが、その足跡が消えるわけではありません。澪乃さんの活動はすばらしいものだった。人の心に残るものだった。それを黄色の景色が証明しています。ミルスフェにとって澪乃さんは大事なひとりです。そのことはこの先もずっと記憶と記録に刻まれます。

澪乃さん、本当におつかれさまでした。

そう思いながら黄色のペンライトを振っているとき、ふと閃くものがありました。

それこそ、「ミルスフェだけの魅力」の答えでした。

Overcoming

ライブはあっという間に終わりました。楽しさとほんの少しの切なさのなか、どこかほっとしていました。これだけ楽しい時間をつくれたミルスフェならこの先もだいじょうぶ。そう思えたからです。

この日、ミルスフェは新曲を披露しました。タイトルは『Overcoming』「克服する」という意味です。克服。それはミルスフェの歴史を紐解くキーワードかもしれません。

メンバーの移り変わりがあるなか、ミルスフェを守り続けたきた結城彩世さん。

アイドルが好きだからこそ悩み、信じるアイドルを貫いてきた姫川真莉愛さん。

しっかりとした言葉で、最高の笑顔で、お別れを告げた星河澪乃さん。

不安でつぶされそうな日々を力に変え、さらなる夢に向かう南あすかさん。

自信のない弱い自分を認め、自分を支えてくれる存在を愛する愛瀬由奈さん。

苦手から逃げずに挑戦し、ひとつひとつをみずからの武器にした越智天音さん。

これまでのミルスフェを継ぎ、これからのミルスフェを創る榎宮梓さん。

誰一人欠けても、誰一人逃げ出しても今日の景色は生まれませんでした。メンバーのひとりひとりが諦めずに、くじけずに、前を向いて歩いてきたからこそここに辿り着いた。それがミルスフェの力であり魅力。

そう、ミルスフェだけの魅力とは、克服してきた「歴史」です。

歴史は力です。ミルスフェの辿った歴史、メンバーの辿った歴史、そしてこれから辿る歴史は、他のどのアイドルだって辿れないミルスフェだけの道です。

無駄なことなんてなかった。足踏みなんてしてなかった。すべての経験は歴史になる。力になる。グループをさらに輝かせる。

そのことに気づいたらもうだいじょうぶ。顔を上げたらミルスフェを待つ「仲間」がいます。その仲間と心の手を繋いだらどんな困難も乗り越えていける。涙が溢れても太陽みたいな笑顔で虹に変えられます。

ミルスフェには常に風が吹いています。その風は未来へ、キミの……メンバーとファンの夢を運んでくれます。

もういまにもその夢に届きそうじゃないですか?

どんな夢を描こうともミルスフェなら辿り着けます。必ず。

この日、君いろshine――ミルスフェの輝きは未来を照らす光になりました。

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