過去の壁を嚙み砕く―ラブアグレッション定期公演vol.4ライブレポート

2022年11月30日、ラブアグレッション定期公演vol.4(現衣装カラーチェンジ公演)に行ってきました。

場所は新宿WALLY。自分にとって大切な会場です。でもしばらくこなかった会場です。正確に言えばこれなかった。意識して避けていました。

ここには特別な思い出があります。その思い出に触れた瞬間、心が過去につぶされる。そう恐怖するほどの思い出があふれています。

でも、ついに背中を押してくれるグループが現れました。

それがラブアグレッションです。

INFIY∞と新宿WALLY

自分がライブアイドルの世界を知ったのは、INFIY∞(以下インフィ)というグループがきっかけです。そのインフィは今年3月に解散しました。実質インフィを応援できたのは半年ぐらいです。

じゃあその半年、全力で応援したのかと言われると、まったくでした。「まだ先がある」と勝手に決めつけ、ライブに行ったのは数回。「新規の自分が行ってもな」とくだらない理由で先送りにしたイベントもありました。

そして極めつけは解散ライブ。なんとコロナに感染して行けなかったのです。最後にお別れと感謝が伝えられなかった悔しさは、ずっと心でくすぶり続けています。

そのせいもあり、インフィを見た会場は意識的に避けていました。まだインフィ解散の傷跡は生々しく心に刻まれています。思い出の会場に行こうものなら、インフィのことだけを考えてとてもライブに集中できません。

新宿WALLYもそんな会場のひとつでした。見たいライブがあっても「WALLYか……」と避けてしまいます。

そんな折、金銭的にも時間的にもばっちりのライブが発表されました。それがラブアグレッション定期公演vol.4です。

唯一の問題は新宿WALLYという会場。本当にそれだけです。それ以外に行けない理由はありません。でもそれって本当に行けない理由なのか。もちろんそうではありません。行けない理由にしてしまっているだけです。

だから、一度行ってみようと思いました。そうすればなにか変わるかもしれない。

それにラブアグには、あすぴこと小平明日香さんがいます。あすぴさんは自分のはじまりを知る数少ないアイドルさんのひとり。そのあすぴさんがいるラブアグなら、過去を過去と割り切る力をくれるかもしれない。

そう思い、意を決して参加を決めました。

思い出に囚われて

久しぶりの新宿WALLYはなにも変わっていませんでした。あの頃のままです。そのフロアの様子を見渡しただけでもうダメでした。偶然知り合いの方がいたので少し気が紛れましたが、もしひとりだったら本気で泣いていたと思います。

思った以上でした。思った以上に深い傷でした。

平日昼間とあってあまり人は多くありません。いくらでも前に行けます。それでも、後方の隅っこに位置をとりました。

ここはいつもインフィを見ていた場所です。直接見れて嬉しいのに楽しいのに幸せなのに、それを表現する術を知らなくて、ただじっと見つめていた場所です。

そこに立つだけで、記憶が波のように押し寄せました。

緊張で会場に入れず横のコンビニでうろうろしたこと、ペンライトを恥ずかしくて振れなかったこと、目線が合ったのに自分じゃないと逸らしたこと、スタッフさんからブログの感想を聞いたこと、メンバーに「いつも真剣に見てくれてありがとう」と言われたこと……。

心はもうここにありません。あの日ばかりを考えてしまいます。

それがいけないことだとはわかっています。思い出は財産です。大事な記憶です。でもその思い出に囚われ目の前を向けない。いつまでも思い出のなかで生きている。そんなのメンバーたちが喜ぶはずがありません。

わかっているんです。わかっているけど思い出を止めることができません。

こんな気持ちでラブアグを楽しめるのだろうか。

その不安のなか、開演の時間がおとずれました。

その壁を噛み砕く

ラブアグが登場しても、心はまだ過去にありました。ステージに立つメンバーを見ながら、違うグループのことばかりを考えている。心ここにあらずです。

けど、だんだんと心がステージに引き寄せられていきました。思い出の景色を見る余裕を与えてくれない。違う方向を向いていても強引に目の前を向かせる。

どこ見てるの?
わたしたちはここにいるよ。

実際に言われたわけではありません。でもそんな言葉が聞こえるようでした。

ラブアグはここにいます。ここで全力を見せてくれています。噛みつかんばかりの勢いでファンと向き合っています。ファンもまた声援やペンライト、視線でそれに応えます。だれもがだれも、「今」を楽しんでいます。

今回はカラーチェンジ公演。普段とは違う衣装を着たメンバーは新鮮でした。その姿をしっかり目に焼き付けなくちゃ。そう思いました。そう思えました。いつしか心の底から楽しんでいました。

インフィを思い出すと、辛く切ない記憶が次々と浮かんできます。その記憶に翻弄され、一番大事なものを見失っていました。

そう、ライブって楽しいんです。
新宿WALLYには楽しい思い出が詰まっている。

ラブアグがそれを教えてくれました。過去という壁を噛み砕いてくれました。そのとき、インフィとWALLYが「幸せな記憶」として昇華されました。

なんで忘れていたんだろうと思います。再びフロアを見渡します。あちこちに幸せの余韻があります。たとえ解散してもう会えなくなっても、楽しかった記憶が消えることはありません。その記憶に囚われるのではなく、記憶を宝物とすれば、もっと今を大事にできるはずです。

そして、これから思い出を重ねていけるグループが目の前に――。

悩みや迷いや戸惑いがあっても、「今」を楽しませてくれたラブアグレッション。
その光に照らされ、心は楽しいで満たされました。

「最高のストーリー」

ラブアグレッションで一番好きな曲は「愛を超えて」です。

けど、本当にびっくりなんですが、まだ一度も会場で聞けていません。「おまえには聞かせないよ!」という強い意志を勝手に感じています。

でもまあ、いつか必ず回収してやりますよ!
だってラブアグとの思い出はこれからたくさん作れますから!

いつか生で聞けたときは心からの拍手を送るので見ててくださいね(しかし恥ずかしくて視線をそらすヲタク)。

で、その「愛を超えて」でこんな歌詞があります。

『見過ごさないでね 最高のストーリーを』

ここでいつも泣きそうになります。まさに「最高のストーリー」を見過ごしてきたヲタク人生だったからです。

インフィもそう、ラブアグにしても新体制お披露目という大事な瞬間を見過ごしました。

もちろん家庭の事情や仕事で行けないことも多々あります。でも、「行けたのに行かなかった」という理由はずっと心に残り続けます。いまの自分のように。

だからもう見過ごしたくありません。

思い出の上書きではなく、思い出を別名保存して、たくさんの思い出を心に残していきます。

なんてね♪

とは言いません。
これはまじです。

ラブアグレッションと光差す世界へ。
愛を超えて。

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